ギャラリー  ときの忘れもの

カテゴリ: 栗田秀法のエッセイ

栗田秀法「現代版画の散歩道」第10回 オノサト・トシノブ

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第10回 オノサト・トシノブ オノサト・トシノブ《銀河》 岩石や雪の結晶、植物の花や葉のならびかた。 生物の体の仕組、おそらくあらゆる自然現象をふくめて、形態的には幾何学的形態に属している。 そして平面として判断したときには、そ …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第9回 草間彌生

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第9回 草間彌生 草間彌生《南瓜 B》 南瓜は実に愛嬌のある形をもっている。 私が南瓜に造形的興味を受けたのは、その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ。 そしてその上、たくましい精神的力強さであった。(草間彌生)  ゴッホといえばひまわり …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第8回 倉俣史朗

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第8回 倉俣史朗 倉俣史朗《無極Ⅱ》  一体、これは倉俣史朗の作品なのだろうか。人物が重々しく倒れ込んでいる様子が一瞬の閃光が空間に焼き付けられた残像のようにとらえられている。引力からの解放、浮遊感といった言葉が代名詞のこの …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第7回 舟越桂

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第7回 舟越桂 舟越桂《砂の部屋》 「もっとその人が僕の側にいるときのあの感じが」(舟越桂)  舟越桂の作品タイトルはいつも謎めいている。「砂の部屋」というと、時のはかなさ、寄る辺のなさ、孤独感といったイメージが思い浮かぶの …
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跡見学園女子大学花蹊記念資料館「久保貞次郎と現代版画」10月18日〜12月18日

埼玉県・新座市にある跡見学園女子大学花蹊記念資料館で「久保貞次郎と現代版画」展が開催されています。 美術評論家、教育者、パトロン、コレクターなど、数多の肩書きをもった久保貞次郎。本展では、その多彩な活動と、彼が支援した芸術家たちとの交流を、版画を中心と …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第6回 柳澤紀子

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第6回 柳澤紀子 柳澤紀子《時の移ろい―残花》 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間まに 画面左手には、画面いっぱいに筋肉質の男性の背面が描かれている。後ろに回された左手は右肩に、右手は左ひじに …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第5回 村上早

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第5回 村上早 村上早《カフカ》2014年 銅版、雁皮刷り(リフトグランド) イメージサイズ:100.0×135.0cm シートサイズ:126.0×161.0cm  大きな作品である。大型銅版画と云えば、古くは山口啓介による《方舟》などの巨大な終末論的な …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第4回 吉田克朗

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第4回 吉田克朗 吉田克朗 ≪Work “46”≫ 1975年、リトグラフ  画面は上下の二つの区画に分かれている。セピア調のモノトーンで刷られた上部の写真には、鬱蒼とした森の手前にらせん状の滑り台等が配された公園の情景が捉えられてい …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第3回 靉嘔

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第3回 靉嘔 靉嘔《I love you》1974 レゾネNo.267  画面中央には、花束を胸に抱き、横向きに立つ正装の男の姿が大きく描かれ、手書きの文字が画面一杯に重ねて摺られている。よく見ると手紙の本文はすべてが“I love you.”の繰り返し …
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栗田秀法「現代版画の散歩道」第2回 内間安瑆

栗田秀法「現代版画の散歩道」 第2回 内間安瑆 《Forest Byobu (Fall)》  画面を見ると、色とりどりの5から10の色面で区切られた縦の区画が万華鏡のごとく横に展開していく。子細に観察してみると、その展開の仕方は実に複雑で、画面に向けられた視線は一か所にとどまる …
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